すなわち、なによりも取引先が繁栄するための機能を創出することを最優先させる。
その結果が、ひいては卸売業としての存続を可能にすることを知るべきである。
その思考のなかから、さらにターゲットを絞り込む。
大手量販店を相手にするのか、それとも一般の小売業なのか、「自分たちの得意先は一体どこなのか」を鮮明にしていく。
それぞれが求める物流サービスのニーズは明らかに異なっている。
当然ながら、そこに対応する仕組みも違ってくる。
前述したECR、ORとは、「納入業者委託商品自動補充システム」と意訳できる。
小売業がPOS(PointofSalesSystem=販売時点情報管理システム)から得られる商品データベースを、オンラインネットワークを介して製造販売業や卸売業などの納入業者にタイムリーに公開し、納入業者はこのデータから各店舗でどういう商品がどれくらい売れたかを適宜、正確・迅速に把握できる。
次いで、今後の売れ行き、納入のタイミング、納入量を予想し、効率的な生産、納入を可能にするシステムである。
製造販売業は、見込み生産から「受注生産」に脱却でき生産コストの削減が実現できる。
卸売業や小売業は、物流の効率化とコスト削減や顧客満足度を高める品揃えができ、さらには三者が適正な利益を得ることができる。
さて、ECR、OR発祥の地アメリカでも業界全体が一斉に動いたわけでなく、大手量販店とメーカー、そしてパワーのある卸売業がまずは1対1で仕組みづくりに取り組んだ。
それが次第に業界全体に広かっていったという経緯を持っている。
ECRの具体例については、アメリカ最大の食品卸売業F社とS社を例に取り話を進めたい。
日本同様、アメリカの流通過程においても、大手ディスカウンター全盛のなかで卸売業が相手にされず、大手小売業と製造販売業が連携した直取引が当たり前になりつつある。
そういう状況下で両社が共通して取った戦略は、W社やK社などの大手にアプローチするのではなく、地方のスーパーなどをボランタリーチェーン(VoluntaryChain=任意連鎖店)として組織化していくというものだった。
両社は巨額の商高も可能となる大手小売業に擦り寄るのではなく、「自分たちと共に生き残っていくのは誰なのか」を、まずもって明確にしていったのである。
またフランチャイズチェーンではなく、ボランタリーチェーンを選択したことも賢明な策だといえる。
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